広告レポートのエクセル祭りから脱却するための方法

わたしも10年くらい前は月初にマクロ、VBAでエクセルレポートを作ったり壊れたりという苦労を繰り返し、確か7年くらい前からは、第三者ベンダーによるエクセル生成ツールを使い、しかしやっぱりエクセルなのでなんだかんだ月初にはエクセルをごりごり使って処理してレポーティングしていました。

そんなエクセル祭りを、形を変えながらも続けてきましたが、2〜3年前くらいからはほとんどエクセルは作らないようになり、1年半くらい前からは完全にレポーティングはクラウド環境のみになりました。定形レポートはもちろん完全自動ですし分析作業するときも全部クラウド上で行っていまして、ちょっと前に新しいMacを買った後しばらくMicrosoft Officeをインストールするのを忘れていたくらいです(Google ドライブ使っているからでもあるけど)。

日常業務の工数は爆発的に削減できていますし分析作業もものすごく捗るようになりました。

もちろん共有もクラウド上なのでこちらからメールで送るなんていうこともなく、運用代行業者であるわたしよりお客様のほうが良く見て分析してたりなんてことも(怖)。

簡単なCSSを書くのにだいたい10回は失敗するくらいのわたしのような非技術者でもここまでのことを実現できているのは、安く使いやすくそれでいて素晴らしく高機能なクラウドプラットフォームを整えてくれているIT巨人達と、ちょっとわからないことを教えてくれる周りの知人達のおかげです。

そしてこの1年くらいでさらに、そんな親切な知人がいない人でも実現できるようになっていっています、それももちろん、そんな仕組みを作ってくれている人たちがいるからです、ほんとに尊敬します。

自分がさらに恩恵を得られるようになるためには、こういったことがより一般化することで結果的にそうなるはず、と思っているので、もっともっと多くの人がレポートの全自動化を導入してめちゃくちゃ働きやすくなってもらいたく、きっかけにでもしてもらえればと願いこの記事を書きます。

本題です。

 

便利なレポーティング環境を構築するための大まかなステップ

  1. APIで広告配信結果のデータを取得する
  2. データウェアハウス(BigQueryとか)にデータを格納する
  3. BIツール(Google データポータルとか)に表示する

かいつまんでいうと、広告配信結果のデータを自動で取得してきて保存しておいていい感じに取り出してきていい感じのレポートを作ってブラウザで表示して見たりいじったりする、ざっくりいうとこれだけのことなのですが、とはいえ非技術者なわたしなんかにとってはいずれもそう簡単にはいかないわけです。

 

 

とはいえそう簡単にはいかない事情

APIの扱いが難しい

Google 広告のデータをBIgQueryに転送する (※)だけならとっても簡単なのですが、他は広告メディアによりけりちょっといろいろ大変です。

※公式ヘルプも読んだほうがいいけど、山田良太さんの記事のほうがわかりやすいし流れも良いです

https://sem-technology.info/ja/google-adwords/bq-dts4ads

SQLを書かないといけない

データウェアハウス内で広告データを整形したり取り出したりするのに、SQLを書かなくてはいけません。ちょっと勉強必要です。

他、データウェアハウス用意したり設定したり、BIツール覚えたり、と覚えることは多いですし多岐に渡りますしやっぱりちょっと大変です。

 

 

でもそんな難しいことを代行しているサービスも出てきてる

API周りは代行してくれてデータウェアハウスにとにかく保存してくれつつものすごく扱いやすい形にデータを整形までしてくれて、なんならSQLまで代わりに書いてくれて、さらにはBIツールでのレポートテンプレまで用意してくれているようなサービスは、いくつか提供されてきているようです。

つまり、なんら技術的知識を持ち合わせていなくとも、とりあえずBIツールにフルオートマチックで担当している広告すべてのレポートを表示してしまうことは可能なのです。

わたしはこちらしか利用したことがありませんが、

https://www.data-be.at/

前述の苦労を経験してきた身としては、ここまで楽に、そして安定的に、あれこれ代わりにやってくれて、まさかのこんな低価格だなんて、神すぎて感動的すぎてもうみんな即導入でしょ、って思ってるのですがまぁ別にそうはいかない、問題は技術的背景以前のこともあるわけでまぁそんなものかとは思うのですが、

わかる人に話すともうこれ一択じゃん、となるわけです。

ちなみに「サービス」というべきなのか「ツール」というべきなのかわかりませんが、めちゃくちゃめんどくさい整形と管理とメンテとをしてくれていて人の手がすごく動いているのがわかるので、わたしは「サービス」だと思っています。

あとATARAさんもこの手の情報は良いものを発信されています。前にセミナー聞きに行ったらとても参考になりました。具体的にどういう形でサービス提供されているかは聞いていないのですが相談したらきっと何かよしなにしてくれるのではないかと。

今度こういうセミナーもあるようです。

【オンラインイベント】Unyoo.jp Online道場 Vol.5 ダッシュボード構築に欠かせないデータの取り方・つなぎ方のいろは【つなぎ方・ETL編】

 

 

おすすめはAPI周りだけ頼ること

BIツールは、Google データポータルなら無料ですし覚えたらめちゃくちゃ便利で汎用性高いので、広告屋としても工数かけていいことだと思います。

そしてBIツールをきちんと使いこなすことを考えたら、データウェアハウスとSQLがどういうものかを知るべきなので、やっぱりSQLは覚えたほうがいいとも思います、簡単なレベルでいいですし、実際、簡単なレベルを覚えれば、広告レポートを作る程度のことには十分です。

APIで広告データを取ってくることと、データウェアハウスを準備してそこにいい感じにデータを保存すること、これらは非技術者にはハードルが高めなのと、技術方面の専門家になるわけでもなければ学習コストも高くついてしまうでしょう、なのでここは、前述のサービスに頼るか、エンジニアさんに依頼するかしたほうがいいと思います。

ということでAPI周りだけ頼り、他は自分のスキルのためにも手を動かしてみるのがおすすめです。

ちなみに前述の紹介したサービス、わたしもAPI周りしか利用していません。SQLの書き方もGoogle データポータルの作り方もわからなくとも頼れてしまいますが、その辺は実際全然使っていないので詳しくは知りません。

API周りは著しい遅延も障害も起きてなくてめちゃくちゃ安定した管理してくれます。

 

 

完全クラウド化する最大のメリットは工数、ではない

よく、ちょっとだけ手作業入るけどGoogleスプレッドシートにCSV貼り付けてGoogle データポータルに表示すればいいのでは?、という意見も聞くのですが、それとは全然違います、手作業なくせるというのは小さなメリットです。

クラウド化、というより、データウェアハウスを基にしてBIツールに表示すること、これと、表計算ソフトのファイルを基にすることとの違いは、大量のデータを扱って集計してもものすごく速い、ということにあるとわたしは思います。

例えば、特定の文字を含む検索クエリに絞って集計する、ここまでは表計算ソフトでもできますが、そのまま、表示する期間を変えたり、スマホのみにしたりPCのみにしたり、もしくは検索クエリを絞った時点で各デバイスごとの結果を別の表やグラフで同時に表示したり、Google 広告とYahoo!検索広告ごとでの結果を表示したり、というようなことまでできるようにするには、膨大な列数と行数のデータが必要ですがこれは表計算ソフトのためのファイルでは実用に耐えません。

データウェアハウスならこれができる、

データを多方面から、多角的に見るということを瞬時にできる、

これが大きなメリットだと思います。

こういった観点でレポートページを作っておくと、一つの広告プロジェクトの、あらゆるポイントを、すぐに把握することができます。

そういった意味では工数も思いっきり削減できるのですが、こうしないと気が付きづらいようなことに気がついたり、気になったところをすぐに深堀りしたり、ということが可能です。

広告管理画面では難しいような確認方法を取ることができる、

そういったことが大きなメリットなのだと、日々実感しています。

エクセル祭りから脱却しようというのは、月初のめんどくさい仕事から解放されよう、というだけではなく、エクセルでごりごり処理してやっとわかるようなことを、さくっと見つけよう、ということです。

 

 

その他のいろんなメリット

単純にレポート作成作業が楽になる

  • 月が明けたら勝手に月次レポートができてるしダウンロードすらしないでいい
  • 日次レポートを、送る、受け取る、なんていう概念すらなくなる
  • 単発で作りたいレポートもさくっと作りやすい
  • 日次の進捗管理、残り予算管理などももちろん自動計算でできる
  • 同一広告アカウント内で複数の予算管理区分での管理ももちろん自動計算して表示できる

などなど。

定型レポートはまず100%フルオートマチックにできます。

日常の状況把握のために発生する作業はゼロにできます。出てきたものを見るだけ。

代行業者も広告主も楽になる

運用する人が普段見たいことと、運用者ではなくて状況を見たいだけの人が見たいことは異なりますが、どちらも組んでおけばいつでも見たいことを見られます。

特に、広告管理画面だと何を見ていいかわからない広告主や社内の運用担当ではない人にとっては、より状況把握をしやすく、しかも運用者がそのための手間を都度かけなくてよくなるので、ほんとに楽です。

第三者にデータを預けないで済む

第三者ベンダーの一般的なレポートツールであれば広告データもそのベンダーに預けるのが一般的です。

しかし、自身で用意したデータウェアハウスにデータを保存するなら第三者に預ける必要はないわけです。

広告主としても自社のデータがどこまで共有されて誰に見られているのだろうかという心配が減ります。

第三者ベンダーのツールを使うより安くすることができる

かかる費用として考えられるのは次があります。

  • データウェアハウスの利用料
  • 第三者サービスへの費用(利用する場合)
  • 構築やレクチャーなどの外注費(利用する場合)

全部自力でやるならデータウェアハウスの利用料だけです。BigQueryなら、よほど大規模ではない広告主自身か、代行業者でももし小規模なら支払ってるのを忘れるくらいに安いです。

その他にも費用を支払う場合、ケースバイケースではありますが、たいてい安くできます。

汎用的なスキルを身につけられる

これも特に大きなメリットです。

エクセルで高度なことができることも社会人としての汎用的スキルですが、SQLとBIツールが使えることはさらにその汎用性を大きく高めることになります。

広告の仕事以外にも活きますよね。

 

 

活用できるかどうかは技術力ではなくてレポート構想力 次第

もちろん、そんなのエクセルでやればいいじゃん程度のレポーティングをするなら、ただ楽になる以外のメリットはありません、それでもメリット大きいですが。

やっぱり、どのようにデータを確認したいのか、どういう分析をしたいのか、どういった報告をしたいのか、どういった共有をしたいのか、はたまた関係者間でどういう意思疎通の体制を作っておきたいのか、

こういったこと次第です。

 

 

もっと一般化すればもっと便利になる

多くの人が使えば、クラウドプラットフォームもどんどん進化するでしょうし、広告メディアもさらにAPI周りを強化するでしょうし、第三者のサービスも増えて進化するはずです。

さらにいろんな人のノウハウも出てきてみんなで助けあえるようになって、重要な仕事にもっと集中しやすくなるはずです。

そうなっていくことを願いますので、ぜひみんなやってみてほしいと思います。

わたしも引き続きこの方面でのスキルを身に着けていきたく、先ほど Yahoo!検索広告のAPI の技術仕様書を開いて目を通してみたところ、そっとタブを閉じたところです。

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